その他のナポレオン関係

イル・ド・フランス＆ボナパルト
　　　　　　　　　　　　　　(モーリシャス＆レユニオン)
　インド洋のフランス領－－イル・ド・フランスは、
1810年に王冠を戴く鷹を描いた10リーヴル銀貨を発行しました。
このコインは大半が鷹の胸の部分が磨耗してしまっているため、
もし完璧に近いグレードのものがあれば、高い評価を得られると思われます。

カール14世・ヨハン(スウェーデン)
　ナポレオン・ボナパルトの幕僚の一人－－ベルナドット元帥は
病弱のスウェーデン王カール13世から請われて、スウェーデンの皇太子となりました。
彼はナポレオン1世を裏切り、連合軍の陣営にスウェーデン軍を率いて参戦、
1813年のドレスデン会戦にてフランス軍を撃破したのです。
　1818年に国王となった彼は19年から自らの肖像を描いた貨幣発行を開始しており、
1/4スキリング銅貨から交易デュカット金貨まで、カール14世ヨハンとして登場したのです。





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カッタロ/アントワープ&ストラスブール

カッタロ
　カッタロもツァラ同様、アドリア海の沿岸の都市で、
やはりフランス軍守備隊が連合軍によって攻囲されてしまいます。
ツァラと同じ理由で5フランと10フラン銀貨の2種が製造されたのです。
　1813年にナポレオン1世が退位したことにより、
カッタロも連合軍に降服、これらの銀貨の圧倒的多数が溶解されました。


カッタロ　10フラン銀貨　1813年


アントワープ&ストラスブール
どちらも1814年に連合軍により攻囲され、前者は5と10サンティーム、
後者も５と10サンティーム貨が青銅貨として緊急発行されました。




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ツァラ〈ザラ〉

　アドリア海沿岸の現在のクロアティアに位置する都市で
ナポレオン1世のフランス軍は1813年に連合軍に攻囲されました。
その期間中、司令官は軍用金の銀塊で
4フラン60サンティーム、9フラン20サンティーム、18フラン４０サンティーム
の3種の銀貨を製造、物資の調達や将兵の給与払いに充てたのです。
これらはフランス軍の降服後、その多くが溶解されてしまい、現存数は極めて僅少となっています。


1８フラン40サンティーム銀貨　1813年




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ナポレオン4世 1856―1879

　ナポレオン3世とスペイン貴族の娘ウージェンヌのあいだに生まれ、
第2帝政の皇太子として知られました。
1870年9月の普仏戦争でフランスが敗北するとロンドンに亡命、
成長しウールウィッチ陸軍士官学校に入学、イギリス陸軍中尉でヅール戦争に従軍し偵察中戦死を遂げてしまいます。
ヴィクトリア女王の第9子――ベアトリスとの結婚が進められていた最中でした。


　ナポレオン4世として彼はボナパルト家の継承者となっていたことから、
ボナパルト派より宣伝コインが発行されました。
10サンティーム青銅貨、20、50サンティーム、１、２、そして5フラン銀貨が、1種だけ1870年銘で残っており、
また1874年銘で5フラン銀貨の厚手貨幣――ピエフォールが見られます。



ナポレオン4世　2フラン銀貨　1874年






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ルイ・ナポレオン(ナポレオン3世) 1808―1873

　ルイ・ナポレオンはナポレオン1世の甥で、少年時代から壮年期にかけてドイツやスイス方面で亡命生活を過ごした。
このためにドイツ語が達者で、都市計画のオスマン、軍事産業のシュナイデル、鉄鋼技師のエッフェルなどを重用したと考えられる。
　フランスに戻っては逮捕投獄を繰り返し、1848年の2月革命で国会議員となって国内のナポレオン人気を利用、
ついには大統領選挙に当選してしまう。
　51年12月2日にクーデターで10年任期の大統領、次いで国民投票で帝位に即いた。

　大統領に就任すると、ルイ・ナポレオンは1および5フラン銀貨、20フラン金貨を、1852年から登場させた。
皇帝としては1と2フラン銀貨、20フラン金貨が53年から発行された。
54年より次第に他の額面のラインアップが揃う。
　ここで注目されるのは名刻印師のバールが、大統領時代から担当したことであろう。
のちに仏領インドシナのピアストル銀貨――自由の女神坐像でも知られる人物だ。
皇帝としてのナポレオン3世は、無冠と月桂冠の2種が見られる。
またどちらにも1サンティームから青銅貨が4種、20サンティームから5種の銀貨、
5フランから5種の金貨――合計14種に肖像が描かれた。




ルイ・ナポレオン大統領　5フラン銀貨　1852年　J.J.BARREが刻印







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ナポレオン2世 （1811―32）

　ナポレオン2世はナポレオンとマリー・ルイズの子で2世として後継者となりましたが、
連合国から拒否されウィーンで生活をしました。
1818年にライヒシュタット公に叙せられています。
　
　ナポレオン2世は早逝しましたが、その没後にフランスを中心とするボナパルト派の間に、王位請求者として宣伝貨幣が計画されたため、1816年銘の１/４フラン銀貨から5フラン銀貨まで(20フランは鉛貨が存在)更には１サンティーム銅貨から10サンティーム銅貨まで合計10種が存在します。

　ナポレオン2世の枢は母と一緒に、ウィーンのカプツィーナー教会の地下に安置されていましたが、
1941年12月15日にヒトラーの命により、ナポレオン1世と同じパリのアンヴァリッドに移されました。
これはセントヘレナ島からナポレオン1世の遺骸が戻り、丁度100年後の事でした。




ナポレオン2世　5フラン銀貨　1816年　王位請求者


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マリー・ルイズ(マリア・ルイゼ) 1791－1847

　マリー・ルイズは神聖ローマ皇帝フランツ2世(オーストリア皇帝としてはフランツ1世)の娘として、ウィーンに生まれています。
ナポレオン1世と結婚しますが、その没落後にパルマの女伯爵の地位を与えられ、息子のライヒシュタット公とは別の地に住みました。

　パルマにおける貨幣発行は、ナポレオン没落後の1815年に開始され、5ソルディ銀貨から40リレ金貨まで、彼女の肖像を描く素晴らしい7種のセットが見られました。
5リレ銀貨は大型銀貨、他の2リレ銀貨、20リレと40リレ金貨なども、素晴らしいコインと言えます。

　ナポレオン関係のコインは、上は金貨から下はマイナー貨までどれもが立派な出来のものが多く、
グレードに気を付けてそろえると卓越したコレクションになります。
また一人に1種、大型銀貨で揃えてゆくのも満足感を覚えると思います。



マリー・ルイズ　5リレ銀貨　1815年




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ジョアシム・ミュラー 1767―1815

職業軍人だったミュラは、退位時にサン=ロック教会前でボナパルト中将と会い、
王党派への反撃を支援、一躍出世コースを歩み始めました。
騎兵の指揮官として勇猛果敢な彼は、イタリアやエジプト遠征で勲功を立て、
ブリュメールのクーデターでも重要な役割を演じます。
1800年にナポレオンの妹カロリーヌと結婚、04年には元帥、05年に皇族となったのです。
1806年にはベルク大公に封ぜられ、他の元帥たちより一段高い地位を得ました。
しかしロシア遠征の帰途、指揮権を放棄してナポリに帰ってしまい、フランス軍敗退の原因をつくります。

　ベルクでは3種のターレル銀貨が見られるものの、
どれも20グラム以下で銀品位が1000分の750という質の低いものでした。
1808年にナポリ王にと転封され、そこではまず現地の貨幣制度を踏襲、
3種の銅貨それに大型の12カルリーニ銀貨に自らの肖像を描かせ、
とりわけ3グラナ銅貨は立派で直径35ミリを有していました。
　1812年に入るとやはりイタリア式にリラを採用、3チェンテシミ銅貨から40リレ金貨にまで、
九種もの肖像を描くコインを登場させました。
また1810年に40フランキ金貨を発行しましたが、これはわずか18枚という僅少な数量に終わり、
その稀少性が非常に高いコインとして知られています。

ジョアシムミュラーは伊達男で知られ、1814年に銃殺にて処刑される際には、自ら「頭は撃つな」と要求したそうです。
残念ながら数発頭に当たってしまったそうですが・・・・・。






ジオアッキノ・ナポレオン　5リレ銀貨　1813年　ジョアシム・ミュラ元帥



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エリーズ・ボナパルト 1777―1820

　コルシカ出身の軍人フェリチェ・バッチオッキと結婚した、ナポレオンの妹エリーズ。
エリーズはルッカとピオンビーノ公爵夫人、次いでトスカナ大公夫人の称号を得ました。

　エリーズ（イタリア式だとエリザ）のルッカにおける貨幣発行は1805年から08年にかけて行われ、
数少ないバラエティのコインは、すべてにフェリチェとエリーズの肖像が描かれています。

　普通の場合は夫妻の肖像が見られると、一番手前には男が位置するのですが、
ルッカではすべてエリーズとなっている点が注目されます。
さまざまな面でのパワーバランスにおいて、
彼女がフェリチェ・バッチオッキよりも勝っていたのでしょう・・・・・・。

　エリーズとフェリチェ・バッチオッキの貨幣発行において、
2種の銅貨は左肖像、2種の銀貨が右肖像という相違が見られました。
それらのうち１種が5フランキ銀貨――大型銀貨です。


ルッカ　5フランキ銀貨　1805年　エリーズ＆フェリチェ・バッチオッキ

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ジェローム・ナポレオン －1784-1860－

ナポレオンの末弟で、能力はないが、兄に忠実であったジェローム・ナポレオン。
早くにアメリカ人女性と結婚していましたが、兄の命令で離婚させられてしまい、
ヴェンテンベルク王女と1807年に結婚します。
この年にヴェストファーレン王に封じられます。
　百日天下では中将－－師団長としてワーテルロー会戦に従軍するものの、
残念ながら軍事的才覚にかけいたため、ウーグモン城館への予備攻撃を総攻撃に
転じてしまい、戦い終盤の兵力不足を招きました。
　
　ジェロームはヴェストファーレンの支配を始めると、貨幣制度をそっくりフランス方式にと改め、
1808年から銅貨より金貨までのセットが登場。
FRANKを貨幣単位とする銀貨に彼の肖像を描きました。
この5フランケン銀貨は、当時の他国の大型銀貨と比較して全く遜色なく、
グレードの良好なものだとむしろ優れた出来栄えと言えます。
もちろんのこと小額面銀貨も素晴らしい出来栄えでした。

　けれどフランス方式は今一つ馴染まず、少しずつドイツ標準にと切り替えられてゆきます。
懐かしいマリエングロッシェンを貨幣単位とするタイプも登場しました。
ジェロームの肖像を描かない1811年のターレル銀貨はわずか5枚の発行数で代珍品として知られています！








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